たった一度きりの青春は盛りだくさん
「和希くん!久しぶり!」
遥ちゃんと一緒に階段を下りてきた琴音は元気に言った。
既にテーブルについてる和希も『元気やねぇ』と呆れてる。
今朝のあの声、きっと聞こえていただろうから。
「いただきまーす!」
夜の8時半頃、他の家と比べたら少し遅い時間かもしれないけど、私たちの夕食タイムは始まった。
私は部活なかったし琴音は学校休んだしだから、佐藤家の食欲はいつもより少し少ない。
だけど、白石家のきょうだいは2人とも部活して帰ってきてるから、お皿の上のものがどんどんなくなっていく。
多めに作っといて良かった。
「ごちそうさまでした!
すごく美味しかったです」
遥ちゃんも和希も喜んでくれたみたいで、食べ終わると笑顔で『美味しかった』と言ってくれた。
「遥ちゃん、テレビ見よ!」
お腹いっぱいになって満足げな琴音も、嬉しそうに遥ちゃんの手を引っ張っていってテレビをつけている。
あんな顔、昨日までは見たことなかったかもな。
もう少し、こうなる前に気付いてあげられれば良かった。
「奈々、後はお父さんがしとくけん宿題でもしより」
椅子から立ち上がったお父さんがそう言って台所に向かおうとしたから、私も慌てて立ち上がった。
だって、どう考えても今日は私の方が疲れてないのに。