たった一度きりの青春は盛りだくさん
「良いって。
俺明日はゆっくりやけん、俺が手伝う」
慌てた私の心を読んだかのようにお兄ちゃんはそう言って、お父さんの後をついていった。
そこまで言われたらもう、私がするとは言えない。
私は和希と一緒に私の部屋に向かった。
でも、階段を上がって部屋に入る直前、机の上に置いたさくら飴の存在を思い出した。
見られちゃまずいものではないけど、一応ラッピングをするつもりだから隠さなきゃ。
「和希、ちょっとだけここで待って!」
私は急いで自分だけ部屋の中に入って、電気をつけて机の上のさくら飴を手にした。
手にしたは良いけど、どこに隠そう。
机の中は見られる可能性がゼロとは限らない。
クローゼットも開けないとは限らない。
じゃあ・・・あ、そうだ。
夕方、琴音とスーパーに行った時に使った小さな鞄の中に入れることにした。
「ごめんね、どうぞ」
「片付け?」
「うん、まぁ・・・」
いつもは急に和希が来ても入れてあげられる状態だから、こういう風に待ってもらったのは初めて。
だから和希も不思議に思ったんだろうな。