たった一度きりの青春は盛りだくさん
前に森くんと一緒にいた時も同じようなことを言われたけど、姫ちゃんが可哀想なんて、そんなことは決してないはず。
ほんと、余計なことばっかり言うんだから。
「もー・・・ごめんね姫ちゃん。
和希が変なことばっかり言って」
ちょうど駅前まで来たから、私はそう言って姫ちゃんに謝った。
もちろん姫ちゃんは全然気にしてなくて、『私、可哀想なんかじゃないけんね』と優しい言葉までくれた。
「ありがとう。じゃあ、また月曜日ね」
お互いに手を振って、姫ちゃんは自転車に跨ってだんだん小さくなっていった。
私は姫ちゃんが見えなくなるまで見送って、和希がいるであろう駅の中に入る。
「おっす」
案の定、駅のベンチに座ってる和希は偉そうに片手を挙げてそう言った。
なーにが『おっす』よ。
人に失礼なこと言っておいて。
さくら飴なんかあげるんじゃなかった。
「座る?」
和希は全く反省してない様子でそう言った。
まぁ、ありがたく座らせてもらうけど。
「どうやった?テスト」
欠伸をしながら言われると、いかにも上から言われてる感じがする。
実際、成績に関しては和希より私の方が優れてることはないんだけど。
「んー、まあまあ。私にしちゃあできた感じがする」