たった一度きりの青春は盛りだくさん

花火大会




歩いて15分くらいかな。


賑やかな声とお祭り独特の明るさがだんだんはっきりとしてきて、お祭り会場に到着した。


こんな人が多い場所で、ちゃんとみんなと合流できるのかな。


「あ、和希に連絡とってみようか?」


私は鞄からケータイを取り出しながらきいた。


でも、達川くんは首を横に振った。


「大丈夫。俺が連絡とるけん」


少し様子が変だけど、こう言われてしまうともう何もできない。


私は『そっか』とケータイを鞄の中にしまった。


「佐藤さん、お腹空かん?

あいつらと合流できるまでにまだかかりそうやけん、何か食べる?」


そう言われると、確かにお腹空いた。


今日は9時から19時まで部活だったし、いつもよりハードだったから。


「うん、お腹空いたね。

あ、あれ!私たこ焼き食べたい!」


右手側にたこ焼きの屋台を見つけて、私は達川くんに伝える。


人がたくさんいるから少し声を張らないとちゃんときこえないよね。


「おっけー。

あ、買って来るけんそこで座って待ちよって」


『私も一緒に行く』って言おうとしたけど時はすでに遅し。


達川くんの姿はあっという間に見えなくなってしまった。


仕方ない、おとなしく座って待つとするか。



< 65 / 85 >

この作品をシェア

pagetop