たった一度きりの青春は盛りだくさん
花火があがるまでにはまだ時間があるし、今日は読書の本をもって来るのは忘れたし、待ってる間は手持ち無沙汰。
だから私は鞄からケータイを取り出した。
あれ、光ってる。
誰かから連絡きてるのかな。
確認するとそれはメールで、相手は和希だった。
『奈々、達川とちゃんと合流できた?
会場着いたら一応連絡ちょうだい。和希』
10分くらい前に届いてるメール。
和希の優しさに嬉しくなって、思わず普通に返信しようとしたけど、おかしいな。
達川くん、みんなと連絡とってくれるって言ってたのに。
『達川くんとちゃんと合流できたよ。
もう会場には着いとって、今からたこ焼き食べるよ。
でも、達川くんか・・・』
「メール?」
途中まで打ったところで、たこ焼きと飲み物を持った達川くんが来てしまった。
いや、しまったはおかしいか。
来てくれた、が正しいのかな。
「あ、うん。和希から。
なんか、達川くんからの連絡、和希には伝わってなかったみたい」
私はうちかけのメールをそのままに、ケータイを鞄の中にしまった。
なんとなく、メールの続きを打って送信したらいけない感じがしたから。
和希には心配かけちゃうけど。