たった一度きりの青春は盛りだくさん
「はい、どうぞ」
お兄ちゃんは私と和希に麦茶を出してくれて、そのままテレビを観始めた。
駅からの帰り、和希は私の家に一緒に帰った。
これが、和希じゃない男友達だったら問題なのかもしれないけど、昔から一緒にいる和希だから家族も普通に受け入れてくれる。
「いただきまーす」
これまたお兄ちゃんが温め直してくれたたこ焼きを、和希と一緒に頬張る。
和希は一応晩ご飯は食べたらしいけど、さすが男の子。
またお腹空いたらしく、私よりも早いペースでたこ焼きを口に運んでいる。
「あ、奈々おかえり。
和希くんもいらっしゃい」
「こんばんは、お邪魔してます」
お風呂上がりのお父さんが、コップに牛乳を注いで入ってきた。
我が家はみんな、お風呂上がりにコップ1杯の牛乳を飲む。
「ただいま」
「花火どうやった?」
当然何も知らないお父さんは和希の隣に座りながらきいてきた。
花火ね、もちろんすごく綺麗だった。
だけど、正直あまり記憶に残ってないなぁ。
「うん、良かったよ、さすが都会って感じ」
「そっか、それは良かった」
少しだけ棒読みだったことに気づかれてないみたいで良かった。