たった一度きりの青春は盛りだくさん
「確かに、関係はないけど無関心ではないよ。
幼なじみやし、気にはなるやん」
唇を少し尖らせている和希は、理由は知らないけどいじけているらしい。
まぁでも、そうだよね。
もし逆の立場、例えば私と達川くんじゃなくて姫ちゃんと和希に置き換えて考えると、少しばかり気にはなるかも。
もしかすると自分のことより気になったりして。
「それに、今まで奈々から恋愛の話とかきいたことなかったし」
課題のプリントに視線を落として言われた。
でも、それはお互い様だよ。
っていうか、私と和希だけじゃなくて、中学までは同級生みんな男女関係なく友達だったから、恋愛とかなかったんだよね。
そういうのをチラホラ目に耳にするようになったのは、高校生になってから。
まだ4ヶ月と少ししか経っていないけど、既に追いつけなくなってる。
「さっきの答えね、達川くんと付き合うかどうかって話」
私は和希から視線を外して、和希と同じように課題のプリントに視線を落とした。
「付き合えんよ」
なんとなく気配で和希が顔をあげて私を見ているのが分かる。
だけど私はなんとなく恥ずかしくて顔を上げられない。
「付き合わんのやなくて、付き合えんの?」
「うん。
だって、そもそも恋愛感情とか分からんし、そんな状態で達川くんと付き合うことはできん。
それに・・・達川くんは友達やもん」