たった一度きりの青春は盛りだくさん



お母さんが入院してからというもの、一時帰宅する時には何故か必ず白石家と一緒に晩ご飯を食べることが習慣になってる。


今回も例外ではなくて、今日の晩ご飯は和希のお母さんが腕をふるってご馳走を作ってくれる。


「琴音ー、冷蔵庫のジュースもらってかまん?」


あ、和希の声だ。


軽やかに階段を上がってくる足音がきこえる。


視界の隅にうつってる姫ちゃんがちょっと焦ってる。


今日姫ちゃんがうちを出る予定時間は17:30。


でも、今はまだ16:00だから1時間半ある。


今もし出たとしても、ちょうどいい時間の電車がないから1時間以上待つことになっちゃうんだよね。


「あれ、奈々おったん。

あ、姫田来とったんや、どーも」


休みだっていうのに、いつも部活で着てるシャツとジャージでいる和希。


でも、高校生になってからは基本的に制服姿しか見てなかったから、制服以外の姿を見るのは久しぶりな感じがする。


「あ、こんにちは。

制服じゃないけん一瞬分からんかった」


男子があまり得意じゃない姫ちゃん。


久しぶりに会う同級生の男子と話すのってドキドキするんだろうな。


「和希、宿題するなら居間でしてくれん?

今は姫ちゃんと女子会中やけん」


私が小さな体で威張って言うと、和希は部屋の中のテーブルの上を見てため息をついた。



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