たった一度きりの青春は盛りだくさん
「なにが女子会中よ。
2人も宿題しよんやんか。
それやったら一緒にしてもかまんやんか」
そう言った和希は体を180度回転させて、階段を下り始めた。
これはまずい。
きっと、荷物を持ってまたやってきて、一緒に宿題を始める気だ。
「ごめん姫ちゃん!」
私は顔の前で両手を合わせて全力で謝る。
恐る恐る目を開けると、姫ちゃんは困った顔で笑っていた。
「しょうがないって。
ほら、白石くんって頭いいんやろ?
私バカやし、教えてもらえるかもやし、大丈夫」
全然大丈夫なんかじゃないくせに。
ってか、姫ちゃん私より頭いいし。
「あ、さっきお父さんから電話あって、一時帰宅の手続きできたって」
私たちのやり取りを黙って見ていた琴音は嬉しい報告をして、静かに階段を下りていった。
いや、まぁ、何度か一時帰宅できなくなったことがあったから、心からほっとした。
「ありがとう姫ちゃん。
ほんと和希ってデリカシーないよね・・・」
文句を言いながらも和希のためにスペースを作る私は、なんだかんだ優しいと思う。
姫ちゃんと2人の時間を邪魔されたのは嫌だけど、今日は姫ちゃんといっぱい話せたし、よしとするか。