たった一度きりの青春は盛りだくさん



私が高校生になったのと同じタイミングで中学生になったんだけど、大変そう。


「友達とうまく行ってないみたい。

私も詳しくは知らんのやけど、遥ちゃんには話してるみたい」


遥ちゃんは和希の妹。


私たちより2つ年下だから、琴音より1つ年上。


同じ中学に通う幼なじみだから相談しやすいんだと思う。


2人は昔から仲良しだったから。


「そっか・・・琴音も色々大変なんやねぇ」


そう言って窓の外を見る和希。


うん、みんなそれぞれ大変なことがあるよね。


「奈々は、友達とうまく行っとる?」


少ししてから、窓の外を見たままで言った和希。


「え、うん。多分」


思わず『多分』って言ってしまった。


だって、高校の友達にはお母さんが入院してること言えてないもん。


言わなきゃいけないって訳じゃないけど、できれば隠し事はしたくない。


家族の話題になった時はいつも困ってしまう。


「そっか、多分かー」


あ、和希に気にさせちゃうかな。


和希って、時々お母さんみたいに私の心を読むんだよね。


『昔から一緒におるけん』って言われるけど、私は和希の心を正確に読むことなんてできない。



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