たった一度きりの青春は盛りだくさん
人見知りな姫ちゃんは、気の毒なほどに真っ赤になってしまった。
「じゃあ、駅まで姫ちゃん送ってくるね。
あ、和希私の部屋で寝よるけん」
お母さんにそう伝えて、私は姫ちゃんと一緒に外に出た。
駅までは歩いて約20分。
実は今日、姫ちゃんに伝えたいことがあったんだけど、本当に言いたいことだけ言えなかった。
「あのね、奈々ちゃん」
いつもの道は車が多くて危ないから、普段は使わない細い道を並んで歩いていると姫ちゃんが話しだした。
「こんなこときいて良いか分からんのやけど、ずっと気になっとったことがあるんよ」
姫ちゃんの雰囲気で、なんとなく私が伝えたかったことと一緒な気がした。
「ちょっと前、花火みに行ったやん?
あの時、奈々ちゃん合流できんかったし、次の日から元気なかったけんなんかあったんかなって」
やっぱりそうだった。
だけど、ただ興味本位できいてきたんじゃなくて、私のことを心配してくれてたんだ。
「実はね、私もそのこと今日姫ちゃんに言いたかったんよね」
多分、姫ちゃんにしか言えない話。
私は花火をみに行った日のことを全て姫ちゃんに話すことにした。
次の日から達川くんとも気まずくなったし、正直ストレスがたまってたから。