たった一度きりの青春は盛りだくさん
長い昼寝の後
玄関のドアを開けると、居間の方から賑やかな声がきこえる。
みんな、お母さんが帰って来たから嬉しくて仕方ないんだろうな。
「ただいまー」
手を洗った後で居間に入ると、さっきはまだいなかった遥ちゃんの姿がある。
「あれ、和希まだ私の部屋?」
姫ちゃんを送って戻って来るには50分くらいかかったはず。
昔から一人になるのが苦手だった和希は、起きているならここにいると思ってた。
宿題をしてる途中で寝ちゃったから仕方なく放って一人にしちゃったけど。
「遥ちゃん来た時にのぞきに行ったけど、その時はまだ寝よったよ」
遥ちゃんとテレビを見ていた琴音が教えてくれた。
『ありがとう』と言って部屋に向かう。
「和希、いつまで寝よん・・・で」
ばっちり起こしてあげようと思って勢いよくドアを開けたけど、全く効果はなかった。
私の目が和希の姿を捉えた時、和希は可愛い寝顔で規則正しい寝息をたてて気持ちよさそうに眠っていたから。
「はぁ・・・」
寝てるなら仕方ない、和希が起きるまで宿題の続きをしよう。
私は渋々、1時間前まで座っていた場所に再び座り、開いたままにしていたワークブックに向き合うことにした。
それにしても・・・と、私は机の上に肘をついてその上に頭を乗せて考える。
それにしても、和希、本当に大きくなったよね。
何年か前までは、あぐらをかいてもこの小さなテーブルにすっぽり収まってたのに、今となってははみだしてるもん。