たった一度きりの青春は盛りだくさん



「別に良いやん、多分でも。

で、和希はどうなん?友達」


わざとらしいかもだけど、少し明るく言ってみた。


ただでさえ雨でジメジメしてるのに、話題まで暗くはしたくなかった。


「俺?んー、ぼちぼち?」


ぼちぼちって・・・私より答え方適当じゃん。


でも、私はちゃんと知ってるよ。


和希にはちゃんと部活の中に仲の良い子がいるってこと。


その子が私と同じクラスだから知ってるんだけどね。


「へぇー」


「反応薄くない?」


和希は軽く睨みながら言ったけど、全然怖くないよ。


だって、今の睨み方は怒ってない優しい時の睨み方だもん。


「おっすー」


私がいつものように『えへへ』って笑いそうになった時、私たちの前に1人の男子生徒が立った。


あ、この子だよ、和希の友達。


名前は確か・・・達川くん。


でも、いつもは電車じゃなかったような。


「あれ、えっと・・・佐藤さんや!」


達川くんは、しばらく私の顔をじっと見つめて名前を思い出した。


良かった、私のこと認識してくれてた。



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