桜の舞う下で...
史郎さんの特攻へ行く日、
私の胸の奥がどくんどくん...
と叫ぶ。

私達は戦争に行く人を止めてはならない。
別れを惜しめば反逆者として扱われる。
『死なないで』ではなく『行ってらっしゃい』と
普段何気なく使う言葉で
お見送りをしなくてはいけない。

史郎さんは私に敬礼をし、
『行って参ります』と言い私を抱き寄せた。
私は言ってはならないあの一言を
言いそうになって口を手で抑える。
私は心の中で『大丈夫...また会える...』
と思うしかなかった。

史郎さんは列車に乗り込むと
窓から私に向かって敬礼をしていた。

史郎さんは
「愛している。愛している。君のことをずっと忘れないよ」
と言いながら涙を流していた。
< 4 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop