正義の味方に愛された魔女4
4 みんな宝物
次の日は、龍二の出勤と一緒に警察署に出向いた。

捜査のお手伝いのボランティア以外でここに来たのは、泊まり込みが長引いた時に差し入れをして以来。




「おはようごさいます」

「おはよう」

「おはようございまーす」


署内は朝だと言うのにバタバタと忙しそうな人が多い。
そんな中を挨拶を交わしながら歩く龍二の隣をついていく……。

龍二がその中の一人に呼び止められた。
たしか彼女は交通課の藤原さん。

あれ?これも、いつかのデジャブ……。


「あ!荒川さん…一課長、おはようございます!」


やっぱりこの人は龍二と私の間のほんの数十センチの隙間に入り…。
どうしてこう、同じ反応なのか…。


《まったくこのおばさん、今日もまた何かしに来たのね?

何なの?どこの、どういう女なの?
一課の人は教えてくれないし…。
月に二回以上は来てるわよ。荒川さんに引っ付いて》


はいはい、何だか色々とすみません。
龍二が言わないなら私が言わないほうがいいのよね。
お手伝いに来てます。荒川百合と申します…。


「あー、おはよう。また、独身会でもあるのか?」


「いいえ、今度は正真正銘の合コンです。
相手は看護婦さん、白衣の天使ですよー?
私の友達なんです。
荒川さん入れて、三人募って参加してください。
お願いします。この通り…」


「悪いけど、合コンは行かないぞ?
奥さんは騙せないし、天使は間に合ってる」


うん、たしかに奥さんは騙せないし天使はすでに一人いるものね。


「えっ?うそ!荒川さん、結婚しちゃったのー?お式は?披露宴は?全然知らなかったー!」


ヘナヘナと藤原さんを、ちょっとごめんね、と避けて先に進む。




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