正義の味方に愛された魔女4
5 囚われた魔女
カランカラ~ン。


「いらっしゃいませ。
……どうぞご自由に色々ご覧ください」


Voice of hartには、
お陰さまでポツリポツリお客様のご来店がある。
年齢層は幅広い。
女性が多いけれど、お香やパワーストーンは男性にも固定客がある。
路面店が一店舗と、ネットショップだけでやっている身には大変ありがたい。


今も、40代くらいの男性が入ってきて、クラスターを見ている。


「こちらは大きさも形もお手頃で、観賞用になさってもいいですし、上質なので浄化用にも最適ですよ?」


「あんたは?
荒川百合さんは、上質なのかい?
50って聞いてたんだけどな、40の間違いだな。
荒川が俺よりいくつか下なんだから、そうだよな」


……は?
何をおっしゃっているのでしょう。


「荒川龍二の奥さんだよね?県警の。
あんたの旦那のお陰でねぇ……15年も塀の中で過ごしたよ。

悪いけど、一緒に来てもらうから」


腕を掴まれて、脇に突きつけられたのは……?!
拳銃ってやつだコレ。初めて本物見たー!
……じゃなくて、私、いま危ない目に遇っているらしいよ。


あぁ、この人は、殺人を犯して服役していたのね……。
やっと出所したばかりで、またこんなことやっちゃ、ダメじゃないのよ!

私をグループのトップのところに拉致するのね。
じゃぁ、いま殺されることはないでしょう…。

警察を恨んだって仕方ないし、服役中の他の罪人を釈放する事なんか、出来るわけないじゃない?

私が人質になったところで、どうにもならないことよ。


「ちょっと、待ってよ。
この店、私が開け閉めしてるんだから、戸締まりしなきゃ。
それに、バイトの子に連絡しとかなきゃ明日から一人で大変だわ」


沙耶ちゃんがお休みで良かったわ。


「あ?……後の事なんか知るかよ。
店じまいだけさせてやるから、早くしろ」


「電話していい?」


「ここで、手短にな。
余計なことしゃべるなよ?」


龍二を表示して発信した。
受話音量を抑えて音漏れを防ぐ。


良かった、すぐ出てくれた。
愛してるよ龍二ぃ。解ってね、お願い!



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