正義の味方に愛された魔女4
「もしもし百合、どうした?」
「あー、沙耶ちゃん?私だけど。
今日は急用が出来てこれからお店を閉めるの。
明日、お休みになるかもしれないわ。
私がボランティアを始める5年くらい前に、パートナーが扱っていた15年モノのワインの件なんだけど…。
さっき1本届いてね、私が樽元に行かなきゃダメらしいよ?
今、蔵の中に入ってる同じ商品も、早いとこ全部、市場に売り払いたいんだって。
解った?」
「百合……。解った。訳すぞ。
昔、俺が関わった事件で、15年服役して出所した奴が一人で店に来た。
トップの所に連れていかれる所…か?
服役中の仲間の釈放が、百合を解放する条件、か?
合ってたら返事してくれ」
「うん、視た感じ、そうだよ。
あと、親戚の子に頼まれてたおもちゃね、
本物、初めて見たけど子供に持たせるのは危険だと思うよ」
「拳銃もってんのか?!
GPSで追うから。多分スマホは取り上げられると思うけどな。
必ず助けるから、無茶するなよ!!」
「うんわかった。
あー、今からお店閉めて出るから。じゃあね」
「ボス!!」
「あぁ。
至急、百合のスマホ追ってくれ。
俺が扱った事件で懲役15年、最近出所した奴。
組織犯罪だ。服役中の奴らの釈放が、人質解放の条件らしい。
……トップは誰だ?なんの組織だ?
くっそ、解らん!」
「ボス、大丈夫ですよ、落ち着いてください。
百合さんの連絡、早くて的確でしたから。
こんなに早く動いてるなんて思わないでしょうから、場所さえわかれば簡単ですよ」
《百合……頼むから、無事でいてくれよ……》