正義の味方に愛された魔女4
へこみそうになっているところに、救世主が帰ってきた。
カランカラ~ン。
「お帰りなさい。
百合さんにお客様です……」
「ただいまー。
ふう、小銭って重いね…。
ん?元気無いね沙耶ちゃん。お客様?
……あら、菜摘さん……でしたよね?
お久し振りです。その節はどうも」
隼人を信用できずにマザコン扱いして暴言を吐き捨てて別れちゃった元カノさんが、いったい何の用でしょう…。
沙耶ちゃん、自信なくしてたけど、この人に引け目を感じる必要はゼロよ?
「お義母さん、その節は、大変失礼を致しました。
私ったら、隼人さんにもお義母さんにも暴言を吐いてしまって……」
……お義母さんって……。
「あの、今日は私に何かお話ですか?
あの時のことを今さら謝りにいらっしゃったのなら、もう終ったことですから、わざわざいいですよ。
それに、悪いんだけど私は貴女のお義母さんじゃないです」
「……ごめんなさい。
謝りたかったのもあります。
でも、ある事実を知って頂ければ……。
それに、また隼人さんに会ってお話をしたいと思って…」
「ある事実?
どんな事実があっても、隼人はもう貴女とやり直さないと思いますけど」
「そんなことには、ならないはずです!
だって私はまだ隼人さんを……」
私は菜摘さんの腕をつかんで言葉を遮った。
沙耶ちゃんは、どういう気持ちで聞いているのだろう。
……大丈夫だからね、この人は「ただの」元カノだよ。
あぁあ……またこの人は、とんでもないことを企んで乗り込んできたのね……。
「あのね、菜摘さん、もう貴女達は終わったんじゃなくって?」
「あのあと!…あのあと、わかったことなんですけど…『妊娠でもしていた?狂言なんて見苦しい真似はおやめなさいな』……」