正義の味方に愛された魔女4
「ボス、声明文、届きました。
発信者は『藤波思想』です。
こちらの情況は報告済みです。
刑事部長から指示もありました」
送られてきたのは、国政と県政、県警に対する抗議文と、服役中の組織員の釈放要求だった。
人質の解放と引き換えに。
「何がしたいんだ?これだけじゃ判らんな。
人質を救出するしか、企みを阻止する手段がない、ということか」
「組織が県政を握って国家を作るとか、以前、その様な馬鹿げた思想本を、藤波は出版しています」
「あー、そうだった。実現不可能な稚拙な思想だよな。
まだそんなクダラナイこと考えてるのか…。
それを強行しようとしてるのか?」
「ボス、殺人罪で15年、最近出所したやつは、この二人です。
二人のうち高橋慎二45歳、こいつは『藤波思想』の組織員でした」
「高橋慎二…あぁ、思い出した。
頭は藤波、辰彦…か」
「GPSの追跡結果です。
複数の建物までは判りましたが、電源落ちました。
この辺りです」
出された地図は、高級住宅街の高層マンションが立ち並ぶ地区のもの。
その中の二、三棟に印が付けられた。
「ここら辺は藤波の所有だよな……。
女の部屋か?事務所か?
どちらかが入ってるんじゃなかったか?」
頑張れ、パソコンマスター朝川さん。
「……出ました。
藤波辰彦自身の名義で契約している部屋が一つあります」
《百合……どうしてる?すぐ行くから、待ってろ…》