正義の味方に愛された魔女4
10 光る心
沙耶ちゃんに連絡をして、事件明けの日、お店はお休みにして休養をとることにした。

コテージが寒かったから風邪を引きかけているのか、立て続けに二つの事件に巻き込まれたストレスからか、
体調が思わしくないので大事をとったのだ。

風邪か更年期障害よね。
ホルモンはデリケートだからすぐにバランスを崩すのよ。





夕方に一度起きて、お風呂に入って洗濯と簡単に手抜き掃除をして、夕食のしたくを終わらせてから、
またベッドでウトウトしていると、龍二が帰ってきた。


「百合、ただいま。具合どうだ?晩めし、作ったのか?無理しないで休んでいれば良かったのに」


「お帰り龍二。
いやーたぶん風邪か更年期のせいでしょ?
前に婦人科で言われたもの。
酷いようならホルモン治療するってさ。
様子見て行ってみるね」


「百合が元気ないと、俺も元気なくなるんだ…。
最近色々ありすぎたからな、少しゆっくりすればいいさ。
元気で暮らそうな?病気にならないでくれよ?」


龍二ったら、もー。心配症だね。


「大丈夫だよ。ちょっと疲れたんだよ。
……それより、ご飯食べるでしょ?
……えー?それ、何?ずいぶんたくさんあるね」


龍二が持ってるペーパーバッグに、何やら色々入っている。


「あー、これ防犯グッズ……。
防犯ブザーだろ?……発光ボールに……夜光ワッペン。あとなぁ…。
そうそう、頼めば発信器と受信機もすぐに用意してもらえるからな」


「ねぇ、これ、私がいっぺんに持ち歩いたり身に付けたりするの?
恥ずかしくてそんな事出来ないよー?」


私はその中のブザーとボールだけを貰った。


「全部やる。何かあったときに役に立つんだから。
俺が四六時中ついててあげられないんだから、自分で自分を守って貰わないと。

俺のせいで百合に何かあったらどうすればいいんだ?
俺が安心するためのもんだから。
俺のためだと思って持っていてくれ」


「解ったよ……。でもね、過保護だと思うよ?」


「これで百合に何事もないなら、過保護でも何でもいいさ」



龍二が持ってきた防犯グッズの中には、夜でも目立つように光るシールやワッペンがあり、
薄暗い寝室で存在を主張していた。

発光ボールはコンビニ強盗用にレジの下に置いてあるという、ぶつけると割れて塗料が光るあのボールだ。


光るものは、暗くても目立つものね。


私が視える心にも明るさがあって、文字通りなんだ…。

暗い心は光を持たないし、明るい心は目立って光っている。

沙耶ちゃんや龍二は、ほとんどいつもピッカピカ。

沙耶ちゃんは桜色で、龍二は晴れた青空の色……個性が出るんだろうな。

ちなみに隼人は生意気にもシルバーブルー。
隼人に言わせると私はパープルになったりバイオレットになったりするという。


光る心がいつまでも輝きを失わないように、
いつも明るく居られるように、この力はあるのだろう。

正しさと優しさで、光の少ない心を視る時…
相手の心に少しでも明るさを分けてあげる事が出来ていたら
力のプレゼントの送り主も、きっと喜んでくれているに違いない……。





【完】










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