正義の味方に愛された魔女4
「うーん……こうなって欲しいって言うのは無いよ。沙耶ちゃんはどうなっても沙耶ちゃんだから。

こうして欲しい…ってのは…いや、俺がこうしたいっていうのを我慢していることはあるのかな?
……でもね、それは、俺の問題だから。
時間が必要なことだし。

ほら、敬語を無くすのにも時間が必要だっただろ?
自然に無理なくゆっくりでいいんだ。

だから、沙耶ちゃんは、これからも一緒にいてくれればいいんだよ」


「私には、隼人さんがしたいと思っていることが解らなくて、
ダメな彼女なのね……」


「ダメじゃないよ?
俺の事を充分解ってくれているよ。
でも、沙耶ちゃんが消化できない様なことまで解る必要はないんだ。

でも、沙耶ちゃんが気にしてるなら、ヒントをあげるよ。

もっとたくさん一緒にいて、沙耶ちゃんがもっと俺に慣れて、言葉では伝えきれないくらいお互いに好きになれたら、
こうするよりもっと先の事もしたいって思ってるよ」


沙耶は、ゆっくり近付いてきて優しく触れる隼人の唇を、
その時はじめて感じたのだった。


「隼人さん……大好き」


「俺も…大好きだよ、沙耶…」

《呼び捨て……呼び捨てって嬉しい》


「……ははは。そう?じゃもっと早く言えばよかったね。
これからゆっくり色々ね?
まだ俺の事は呼び捨て出来ないだろ?」


「……うん、無理、ゆっくりがいい」


「ね?……そーゆーことさ」






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