正義の味方に愛された魔女4
病室にはいると、ベッドの隼人を囲んで穏やかに会話中だった。
隼人はあまり喋れないけど、顔色もそうひどくない。
私は隼人の手を取って、全てを視た。
思ったより元気そうな姿を見て安心したら、涙が流れてきた。
《母さん、心配かけてごめん。
大事な所は、かすったらしい》
《大したことなくて良かった…。
親より先に死なれたら、悲しいどころじゃないんだから!
鍛えておいて本当に良かったね》
「百合さん、ごめんなさい、私のせいです。本当は私が刺されるんだったのに」
「ううん、沙耶ちゃんだったらもっと酷かったよきっと。
私の、あの子への対応が悪かったのよね。
だから、逆上してしまったんでしょう」
「いや、傷害罪。殺人未遂事件だ。悪いのは犯人の井上菜摘の行動。
重傷にならなくて良かった……。
隼人、沙耶ちゃんを抱き込んで避けたそうだ。
日頃から体を動かしておいてよかったな。
百合、明日、一緒に署まで来てくれ。
ボランティアじゃなくて、ただ話を聞くだけだから。
二人はさっき、他の署員に話したから。
店は大丈夫か?」
「お店は半休にするわ。
沙耶ちゃんは、明日お休みね?
ここに来るでしょ?」
「はい。隼人さんが治るまで毎日来ます」
「……だってさ隼人。
入院患者なんだからあんまりイチャイチャしないでよ?」
「……そこは、バレないように、そこそこ、するでしょ、普通」
「隼人さん、病室ではおとなしくしなきゃ…そこそこって…?」
「はは……イテテ……。
刺されたのが、さ、俺で…よかったよ。
だいたい…俺が、蒔いた種だし。
こんな…痛い思い、沙耶には……させられない」
「おー、隼人!男だなぁ。
なんだか前より仲良くなったんじゃないか?」
「怪我の…功名?……はは、イテッ」