セシル ~恋する木星~
セシルは腕時計をして来なかった。
何時なのかわからなかったけれど、多分ちょうどいい時間なのだろう。
山口が会計をして、外に出てからセシルは財布を出した。
「わたしの分……」
「いいよ」
「でも……」
「いいから」
「すみません。ありがとうございます。ごちそうさまでした」
「いいえ〜」
「美味しかったですね」
「うん。また来よう」
「え? ……はい」
「また」の意味がよくわからないまま、セシルは肯定の返事をした。