セシル ~恋する木星~
第21章 歩道橋のキス
「少し酔い覚ましに歩こうか」
山口の提案に、黙ってうなずくセシル。
ごく自然に、山口がセシルの腰に手を回してきた。
初めてのことでセシルはドギマギしたけれど、平静を装って歩幅を合わせて歩いた。
今までつきあった人とは、手をつないだり腕を組んで歩いたりしたことはあったけれど、腰に手を回されたことはなかった。
背中やわき腹は結構敏感なところ。
山口の腕の温もりが直に伝わってくる。
からだもぴったり触れているせいか、世間話をしているだけなのに、セシルの耳は全然会話に集中できなかった。