セシル ~恋する木星~


「咲子ちゃんのダンナ、銀行だっけ?」

「うん、そうだけど」

「じゃ、今日はダンナが子どもの面倒みてるの?」

「そうよ。咲子のダンナさん、休みの日は晩ご飯も作るんだって」

「ふーん、そうか。……風呂、入ってくれば?」

「うん、ありがとう」

夫と少し話した後、セシルは勧められるまま、そのまま洗面所に直行した。

山口がタバコを吸わない人でよかった。
また、香水や整髪料など、匂いのするものも付けていなくて本当によかった。
セシル自身が苦手というのももちろんだが、誰かの匂いを付けて帰るのは嫌だった。



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