セシル ~恋する木星~


わずか一分ほどの会話だった。
ほとんど山口が一方的に話し、セシルは「はい」と返事していただけのような気がする。
耳に当てたままの受話器が、ツーツーツーと言っている。
セシルは我に返って、受話器をゆっくりと置いた。

信じられない。
山口から誘いの電話があったこともそうだが、何の迷いもなくOKしている自分にも驚いた。
山口の声も、どことなく弾んでいたような気がした。

早速、直子に報告の電話をしようと思ったが、山口に逢ってからのほうがいいかと思い直し、かけるのをやめた。



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