セシル ~恋する木星~
第28章 あのキスの意味
「ねぇ、セシィ。今日は何時くらいまでいいの?」
「えっと、五時に横浜を出れば間に合うかな」
「じゃ、わりとゆっくりできるね」
「うん。……このタルト、すごく美味しい」
「じゃ、俺のもあげるよ」
「え〜、いいですよ。山口さんも食べて」
「あんまり甘いのは、ちょっと……」
「そんな甘くないけど」
「いいから……」
そう言うと、山口はイチゴの乗ったタルトをセシルのお皿に置いた。