セシル ~恋する木星~
第29章 パリに帰る前に
山口はもうほとんど食べ終えており、ひとしきり話した後、コーヒーをゴクッと音を立てて飲んだ。
セシルはフルーツがまだ残っていたので、手を付け始めた。
「この後の時間、もう少し、俺にくれないか?」
「え? う、うん」
「セシィのこと、パリに帰る前にもっともっと知っておきたいんだ」
「うん」
「帰ってからも、セシィのこと、忘れないように」
「…………」