セシル ~恋する木星~
第31章 周五郎のヴァン
しばらくすると、山口もバスローブ姿で現れた。
「喉渇かない?」
山口が言う。
「うん、何か飲みたい」
いったん冷蔵庫を開けた山口が、中をサッと見てすぐに扉を閉めてしまった。
それから、何かひらめいたような顔つきでセシルに言った。
「ワイン、好き?」
「ワイン? うん、大好き」
「よかった。じゃ、ソファに座って待ってて」
「うん」