セシル ~恋する木星~


飲み込むと今度は喉の奥が、かぁーっと熱くなる。
意外とアルコール度数は高めなのかもしれない。
喉から食道へと、じんわり温かさが移動する心地よさ。

「山口さん、これ、すごく飲みやすくて美味しい」

「そう? 良かった」

山口はうれしそうに微笑んだ。
セシルは、もう一口飲んでみた。

「こんなの、初めて。なんかね、すごく幸せ〜って感じ」

そう言うと、セシルは目を軽く閉じ、両手で頬を包み込んで、うっとりと天を仰いだ。



< 163 / 201 >

この作品をシェア

pagetop