セシル ~恋する木星~
第36章 セシィとミシェル
「そう……。ねぇ、俺、フランスでなんて呼ばれてるか、前に話したこと、あったっけ?」
山口が静かに話し始めた。
「え? なんて、って? 『山口さん』以外に?」
「うん」
「ううん、聞いてない」
「そうか。じゃ、偶然なのかな」
「何が?」
「俺ね、ミシェルって呼ばれてるんだ」
「えっ?」
その瞬間、セシルの全身に鳥肌が立った。