セシル ~恋する木星~
「それで、その人がわたしの耳元で『ジュテーム、セシィ』って囁いて、海に飛び込んだの。嫌ぁ〜〜」
「セシィ、落ち着いて」
山口が、しっかりとセシルを抱きしめた。
セシルは山口の胸に顔をうずめて、泣きじゃくった。
「セシィ、俺たちは過去世からのつきあいだったんだな」
「うん」
山口が子どもに「よしよし」をするみたいに、セシルの頭を撫でた。
「俺、こう見えて実は海、苦手なんだ」
「言わないで」
「大丈夫だよ。俺はセシィのこと、置いて死んだりなんかしないから」
セシルの目からは、また涙があふれ出した。