セシル ~恋する木星~


「うん。あの夏休み、チカちゃんがここに連れ来てくれたときね、『ここはわたしの街。わたしはここに住む!』って決めたんだけど、きっと彼がわたしを呼び寄せたんじゃないかって……」

「だとしたら、すごい奇跡だね」

「うん。奇跡としか言いようがないよね」

「ねぇ、セシル。中華街の占いのお店のことは覚えてる?」

「うん。チカちゃんがマリアさまで、わたしが修道院にいたから、仲良しだって話でしょ?」

「うん。それだけじゃないけど」

「あと、どんなこと言ってたっけ? あんまり覚えてないんだけど」

「セシルはまだ小学生だったから、あまりピンとこなかったのね、きっと」

「え? チカちゃん、覚えてるの?」

「うん、すごく衝撃的って言うか、ロマンチックっていうか、印象深かったからよく覚えてるわ」

「何々、教えて〜」



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