セシル ~恋する木星~
セシルが十歳の夏休み、いつものようにチカちゃんとお風呂に入っていたとき、チカちゃんが不思議な話をしてくれた。
「横浜にね、とってもよく当たるっていう占い師さんがいるの」
「占い師さん?」
「そう。でね、今日観てもらったの」
「なんて言われたの?」
「わたしの前世ね、マリアさまだって」
「ぜんせ? マリアさま?」
「そう。びっくりしちゃった」
セシルは三歳のころから、家の近くの教会の日曜学校に通っていた。
だから、マリアさまは、すぐわかった。
でも、「ぜんせ」って何だろう、と気になった。