セシル ~恋する木星~
「わぁ〜、夜はこんなに綺麗なんですね!」
イルミネーションで輝くシャンゼリゼ通りを走っているとき、窓の外を見ながらセシルがうっとりして言った。
「そうか、昼しか通ったことなかったか?」
「はい、わたしたち、夜は早めにホテルに帰ってたから」
「いい子ちゃんだったんだね」
運転席から、山口が茶化したように言う。
それには答えずに、セシルが続ける。
「今日はなんかいつもと違って、うれしい」
素直な感想を漏らすと、ふーっとため息をついた。