セシル ~恋する木星~
「うーん、三十八くらい?」
セシルが思ったままを言う。
「やった!」
「……ってことは、四十代ですか」
直子が、遠慮がちに聞く。
「うん」
「見えないですよ〜。ねぇ、直子?」
「うん」
「でもね、ひとに聞かれたら、『永遠の三十八歳』って答えてるんだ」
そう言うと、山口はいたずらっぽくウインクした。
「じゃあ、わたし、当たりですね。さっき『三十八』って言ったから」
「うん、だから『やった!』って、思わず言っちゃったんだけどね」