セシル ~恋する木星~
「山口さん、筆不精なんですか」
「あぁ、ごめん。返事書かなくて」
「いえ」
「おふくろにも書いたことないんだ。用事があるときはいつも電話で済ませちゃうから」
「そうだったんですね」
「うん。……だけど、ほんとびっくりだよね」
「え?」
「あなたとこうして、ここで逢っているなんて」
「ほんと。信じられない」
「あと一日電話が遅かったら、逢えなかった」
「そうですよね。すごい偶然」