セシル ~恋する木星~
第16章 子どもがいるなんて
「あ、一緒にツアーに行った友達が、よろしくって言ってました」
「え? 今日逢うこと、言ったの?」
「ええ。いけなかった……?」
セシルの声は少し不安そうになり、語尾が消えかけていた。
「ううん。そうじゃないけど、あなただけ誘ったなんて知ったら、彼女が気を悪くしやしないかと……」
「でも、彼女、京都だから、もし誘われてもきっと来なかったと思いますよ」
「なんだ。横浜じゃなかったの?」
「ええ。言いませんでした?」
「うん。てっきりふたりとも横浜だとばかり思ってた」
「もともと直子とわたし、京都で知り合ったんですよ」
「そうだったんだ?」
「ええ」