セシル ~恋する木星~
「謝らなくていいんだよ。それより、あなたには何か夢ってある?」
「夢ですか? ええ、子どものころから、通訳になりたかったんです」
「へぇ、そうなんだ。じゃ、英語はペラペラなの?」
「ううん。英検だって一級、二回も落ちて、嫌になってやめちゃったの」
「そうなの?」
「うん。山口さんは英語もフランス語も話せて、グローバルに活躍されてて、ほんとすごいですよね」
「そうかな」
「うん。わたし、憧れちゃう」
いつの間にか、くだけた話し方になっていた。