セシル ~恋する木星~
「例えば?」
「セシィ、好きだよ」
いきなりまた耳元で囁かれて、セシルは全身の力が抜けるような感覚に襲われた。
「山口さん、からかってるの?」
「からかってなんか、いないさ」
「そんなこと言われたら、わたし、どうしていいかわかんなくなる」
「ごめん、ごめん。セシィは純粋なんだな」
山口は酔っているのだろうか。
いつもの口調に戻っていたけれど、相変わらずセシルのことを「セシィ」と呼び続けた。