セシル ~恋する木星~


「ありがとう。じゃ、行って来ます」

「ひとりで大丈夫?」

「うん、平気」

お店の人に案内されて、セシルは入口近くの化粧室へゆっくり歩いて行く。
立ち上がるときが一番揺れる感じで、後はゆっくり歩けば大丈夫だった。
きっと低血圧というのも関係あるのかもしれない。

お酒を飲んでいなくても、前にお風呂でいきなり湯船から立ち上がったとき、バタッと倒れたことがあった。
起立性低血圧症だと言われたことを思い出す。
そのときは突然目の前が真っ暗になり、目を開けているのに何も見えず、しばらくしてようやく見えるようになったのだ。
怪我でもすると危ないから、ゆっくり立ち上がるようにと、医者から注意されていた。



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