唄姫
~九月~
学校が始まっても、僕の頭の中は、香保里サンでいっぱい


授業が終われば、走って会いに行く


僕は、自分の行動を、疑いもしない……




「香保里…サン………」

お店が、開いてない


「香保里サン、香保里サン………」


庭の方にまわって、何度も叫ぶ




ゆっくりと、ドアが開いた


「……香保里サン…、どうし………」


あの、哀しい顔


「……イツキ…君…、ご…めん……ね……」

「どうして?どうして、謝るの?」


「……中に……、入って………」



僕は、香保里サンが暮らしてる部屋に、初めて入った。



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