唄姫
二日目の夜に


「イツキ…、ちょっと良いか…?」


部屋の外で、父親の声がする


「……あぁ………」


父親が、部屋に入って来た


「イツキ…、ちゃんと食べろ…」

「………」


僕の心は“無”だったのに


急に、父親が憎くなる


「…母さんも、心配してるぞ……」

「………心配?
自分がしてる事は、どーなんだよっ」

「してる事って………」


「母さんを傷付けて、
香保里サンを傷付けて………。
いったい、何がしたいんだっ」


全身で感情をぶつける様に、自分でも、驚く様な声で、僕は叫んだ



「ちょっとっ、何があったのっ?」


慌てて、階段を上ってくる

母親。



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