唄姫
僕は

涙がとまらなかった



「イツキ君………、ありがとう……」


何度も言う香保里サン


僕は、知っている


僕が、必死でとめたって


香保里サンは


行ってしまうって事を………




「貴方は、これから、素敵な恋が沢山出来るョ……。必ず」



香保里サンが

僕から


ゆっくりと離れた………





まだ、風は生温くて


月明りだけが照らす道を


僕は、歩いていた



少しだけ感じる



胸の痛みや

清々しさと一緒に………



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