唄姫
その日は、


朝から母親の『ブツブツ』を聞くのが嫌だったから

少し早めに家を出た。


「あれっ?
こんな時間から引っ越ししてんだぁ……」



あの“テナント”の前に、トラックが停まってる……



通り過ぎる時、

気付かれないように、
横目で覗いてみた。




色の褪せたデニムに白いシャツを着て、髪を無造作に束ね……



海を見ていた。



顔も見えなかったケド………


僕の心臓が


“ドクンっ”
となった。



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