唄姫
家に帰ると、母親は、テレビを観ていた


「あらっ、男同士は仲良くて良いわねっ。
どーせ、あたしの悪口でも言ってたんでしょっ」


いきなりの攻撃


「……イツキと外で、会ったんだョ」


母親は、知らん顔



僕は、昨日、父親が言った言葉を思い出し



言いたい事を言わずに、自分の部屋に入った


ベットに横になった時には、親の事など忘れていた




香保里サン………



どうして、あんな顔をしていたんだろう…



僕は、いつも笑顔の、香保里サンの


違う表情に戸惑った



そして、頭の中で同じ言葉がグルグル回る




“愛人………”



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