天狗に愛されて
『な、何を言ってるの?』
〈苦しいなら離れれば良いのです。
生き物はそう考えると自ら離れる…。
それが自明の理、そうでしょう?〉
彼女の言う通り。
私は…何度も何度も考えた。
私は人と相容れない存在かも知れないと。
〈…泣かせるつもりはなかったのですが……。〉
今度は困った顔で私を見つめている。
『優しいのね…変なの。』
本当に変なの。
〈一度限りでも貴女様と共に過ごした事、
どんな長い時が過ぎようとも忘れませんわ。〉
『うん、私も。』
〈ユズリハ様…生きる事を諦めないで下さい。〉
生きる事を諦める?
〈貴女様が解放される事を祈っております。〉
『待って!!』
静止の言葉を聞かず、
彼女は私の前から姿を消した。