天狗に愛されて
『ただいまぁ〜……。』
〈おかえ…どうしたんダイ?
浮かない顔しテ。〉
『それがね…。』
蛇太郎にさっきあった出来事を話す。
バスの事、そして水妖が言っていた事。
〈妖の匂いがすると思ったラ…。
少し危機感ってものを持った方が良いヨ。〉
『うっ……。』
〈水妖は美しさと声で気を惹くんダ。
それで昔は多くの人間が水底に沈められタ。〉
『で、でも助けてくれなかったら
バスに乗ってた人達助からなかったし…。』
バスには大勢ではなかったけど、
人が乗ってた。
幸い、軽い火傷で済んだみたいだった。
あの妖が力を貸してくれなかったら
手遅れになっていたかも知れない。