天狗に愛されて
穴
『何…これ……。』
目が覚めていつものように外を見てみると、
妖達がウヨウヨと飛び交ってる。
普段視てる妖じゃない。
『蛇太郎!』
〈そんなに大声出してどうしたんダイ?〉
『なんか黒い妖がいっぱい!!
見るからに悪いモノなんだけど!?』
まるで闇そのものって感じに真っ黒。
最近、空気が澄んでるなって思ってたのに
今は淀んでる。
〈これは…穴が開いてしまったのカ?〉
『穴?ねぇ、穴って何!?』
〈妖はこの地を守るモノも居れば、
この地を汚す妖も居るのサ。
それは祓い人なら分かるダロ?
大昔、妖が出て来る穴を見つけ封印したのサ。〉
『じゃあ、この有様は何?
その封印が解けたって事!?』
私の問い掛けに考え込む蛇太郎。
〈封印を守る社に何かあったのかも知れナイ。〉
『社?そこに行けばなんとかなるの??』
〈多分…ネ。〉
意味深に答える蛇太郎に疑問を抱きながら
先導を頼み、社に向かった。