天狗に愛されて


〈所詮そなたら人間は神を意のままに
したいだけではないか!!

何故その様な願いを叶え続ければならない!〉


伝わるのは悲しみ、憎しみ…

そして、微かに人を愛した記憶。


ポタッ…


何かが頬に伝う。


〈ッ!?〉


『それでも人を憎んでも
完全に封印を解かないのは、
人を嫌いになりきれないからですか?』


憎んでも人間を嫌いになりきれない神様。

でも…視たのはたくさんの人に祀られ、
称えられる記憶。


私には無い楽しそうな記憶…。


そんな記憶がある事に少し羨ましいと思った。


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